明治大学大学院に通う山口脩人さんに知的障がいを持った弟さんに関してインタビューを行いました。
ーー本日はよろしくお願いいたします。自己紹介をお願いしていいでしょうか。
山口脩人、男、年齢は23歳。住んでいるところは神奈川県横浜市都筑区○○○。
──笑笑全部言っちゃうんですね。
趣味はもちろんアニメ鑑賞とかテニス観戦とか好きで。もうちょっとコアなとこ行くと。部屋の片付けめちゃめちゃ得意なんで任せてもらえればなんでも片付けます。
──今日のファッションのポイントは?
ファッションは基本的にテーマ「日本男児」フォルムが見た時にこうなる。Xライン。
──紫がポイントですね。
そういうの意識してます。
山口脩人さんの家族
──では本題に入りましょうか。現在、一緒に暮らしている家族について教えてください。
母親は基本優しい。家族に対しては死ぬほど面倒見がいい。息子二人とも大好き。父親はずっと穏やか。母親は俺が基本あんま家で喋らないんですけど、それでもガツガツいくタイプ。母親は俺とか弟に対してそんなお構いなしで朝、部屋バンって開けて今日学校は?何時に出るの?みたいに言ってくるタイプだけど、父親は俺の気持ちも理解してるからこそ一線引いて母親づてに俺の状況を知る。あいつ最近どうなんって。それがいいか悪いか、ちょっと置いといて、男同士の距離感を意図的に保ってるみたいな感じだね。
──適度な距離感を保っているんですね
あとは弟の世話をめちゃめちゃ楽しそうにやってる。想像なんだけど、弟の中での家庭内での序列みたいのがあって、母親が一番でその1個下くらいに俺がいて、だいぶ下に父親がいるみたいな。父親が友達扱いみたいになってる。
──弟さんについて話してもらえますか?
基本的に言語能力はなくて3歳くらいまでは主にお母さんと昼間は一緒にいて、そのあと弟は障がい者用の幼稚園みたいなものに通ってて、そこから小学校に上がる時に、普通の学校の支援学級に行くか、養護学校に行くかみたいな選択になって、母親とか学校の先生とかと相談しながら、養護学校に行くことになった。

感情の表れ
──養護学校と言えど、やはり高校の方が手が掛からなかったりしますか?
手が掛からなくなるとかはない。彼にも思春期みたいなのがあって、というか今がそうなんだけど
──それは一般的に体験する思春期と時期は同じですか?
時期はほぼ一緒だった。中学3年生ぐらいから。いや遅いかな高校入ってからかな。
──弟さんの感情の起伏みたいなものはどのようなところからわかるんですか?
基本的にわかりやすい。だからそういう面ではちょっと扱いやすいのか。内部のストレス事情みたいなのが全部行動(表情)に出てくる。そこが難しいこともあるけど。
──悪い時ってどんな感じですか?
悪いときは外部からの干渉を全般受け入れられなくなるとか、小中ぐらいまでは座り込んで1時間その場にいちゃうみたいな感じ
──その時はどうするんですか?
時間がないとかだったら、学生の時は半無理矢理に送り出すということをしてたけど、最近はそういう状態になったら一旦放っておく。多分あまり刺激すると、他害行動が出ちゃうからもう力が強くなってきてて、制御する能力を身につけさせないとそういうのに出会した時にやっていけない。刺激を与えないような生活を暮らしている。
──ぐっさん自身が弟さんのケアに携わることはありますか?
結局厳密に言ったら俺はまだ携わってもないんじゃないかって。基本的に3、4歳までに習得するであろう日常の生活のトイレとか、物を食べるとかは小学校上がるまでは全部介助だったけど1回も俺に介助して欲しいとかの話も出てきてないし、自分の弟に思春期の俺なりの恥ずかしさがちょっとあって、小学校の時の思春期であんまり弟と一緒に行動したくないみたいな意識がちょっと。今じゃ考えられない。
──私は家族と一緒にいると恥ずかしい時期は中学くらいで、近辺の中学に入ったから、家族と歩いてるとちょっと恥ずかしいなって、誰かにあったらやだなみたいな時期はありました。
誰しもあるよね

弟と外の世界
──土日どちらかで外に連れて行くみたいなのは大体はお父さんがやられてたんですか?
そうだね。どうしても都合がつかないときはヘルパーさんに頼んで、土日どっちかシフトを入れて、男のヘルパーさんが弟と二人で子供の国に行くとか。父親が元々担当してた外に遊びに行くことをいわばアウトソーシングして、家庭内のバランスを考えて途中から委託するようになったり。
──いつごろからですか?
中学の頃にはやってた。あとは結構習い事とか割とやらせてた。太鼓をたたくみたいなのがあるんだけど、それはずっと。8年くらい。
──ヘルパーさんに依頼する理由は、単純にぐっさんもお父さんも行けないからですか?
あんまり家庭に閉じこもっていると良くないっていう方針もある。家族以外の人と交流を持たせる。
ーーぐっさんから見てお母さん結構大変そうでしたか?
割と多忙。結構いろんなことをやって、割と責任を持つ人で断れない性格ではないと思うけど、何か困ってる人見るとほっとけない。誰もやらないならばやります。俺にはない感情。養護学校でのママ友はめっちゃいた。養護学校で親達も繋がったりして、そもそも、同じマンション内に弟みたいな子供の親が2、3人いるから。
ーーすごい!偶然ですか?
そう、偶然。俺がちっちゃい時とかは、同じマンション内の別のママ友の家に遊びに行くってことで俺が付いていったりしたりして弟とは別の子と絡んだりもして。
ーー弟とは違うその知的障害の子とも絡むということですか?
たまに見かける。
ーー結構そこの繋がりっていうのもあります?
俺、個人としてはもうないんだけど、親同士は弟が養護学校を卒業してからもある。
ーーぐっさんのお母さんは結構タフな人なのかそれともそういうところで外と繋がりを作ることで保っているようなところがあるのですか?
不安定な人ではないけど、単純に陽キャなんで友達作りが上手い人だから、目的があったわけではなくて、多分仲良くなって、それがいい方向に転じただけだと。あとは親戚が多い。ほぼ全員と弟の事情を共有してるみたい。福岡にいるから会ったりはそんなに頻繁にしないけど、その事情を知ってくれてるって。っていうのは俺、個人としてもでかい。
ーー個人としてでかいっていうのは具体的にはどういうことですか?
いちいち説明するのが俺すごい嫌なんで。基本的にはじめましての人とかちょっと会った時にアイドリングトーク的な感じで弟のことをちょっと深掘りされると、どうしても言わなきゃいけないけど、今後そんな関わらないであろう人にそんなことを俺が言いたくない。気を使わせちゃうしっていうのもあるし。親戚は全員そういう事情を知った上で行動してくれてる。

心地よい距離感
ーーぐっさん自身は基本的に小学校までは弟さんと一緒に遊びに行ったけど中高ではあんまり行かなかったんですか?
基本もう土日も全部部活でつぶれちゃうし、夕食ちょっと一緒になるかなぐらいで高校からちょっと変わり始めたけど、中学はもう完全に関わるのが億劫になっちゃって。あんまり交流に対して積極的じゃなくて、基本部屋に閉じこもってた。弟はその時、絡みたい感じだったけど。
ーーそもそも弟さんにっていうよりかは、親と家族全体に対してですか?
それもそうなんだけど、小学校の頃に味わったある種コンプレックスみたいなものも合わさって、ちょっと距離を置いてた時期が中学生ずっと。
ーー高校から変わったんですか?
高校からだんだん愛情が芽生え始めて。ちょっとちょっかい出すようになって。俺が幼少期の頃の心情に戻った。でもその時は弟が思春期に入り始めて、俺を拒否するフェーズに入ってしまって。
ーー3個差ってむずかしいですよね。私もうざがられてばっかりです。一回距離を置いたというのが結構大きいのですかね。

この前の日記に書いたけど、今、弟に対してのポジティブな感情がほぼ100%なのは、俺が中高ぐらいの時に弟との距離感を心地いい距離感を親が保たせてくれたから。中高の敏感な時期に弟のネガティブな面ばかり見ていたとしたら、その時の心象って結構悪い方向に向かっちゃって、それが大人になった今もずっと引きずっちゃうんじゃないかなって。今思うとそれを親は回避させてくれたのかなみたいな。
ーーいい感じの距離感を親が割と調整してくれたということが今の弟さんに対する感情につながっているわけですね。
やっぱり関わり続けるって結構心労にもなるから、家族とはいえ、それを親が受け持って、俺は基本的にその傍観者ではないけど、立場的にはあんまり密に関わるような関係性ではないところにいてくれたから。今はちょっと一変して、弟に積極的に関わりたいって思うようになった。
ーーそもそも中学校とか高校とかってそういうものから距離を取ろうとする時はありますよね。でも逆に多分ぐっさん自身も大人になっているから何か向き合えるっていうのはあると思います。
ーー親が弟との距離感を保ってくれていた。ぐっさんが中学、高校の頃に弟のことを負担に思うこととかあったりしましたか?生活の中で弟がいるからこれを我慢しなきゃいけないとかありますか?
それこそ機嫌悪くなったら座り込んで1時間みたいなのは。迷惑っちゃ迷惑だけどずっとその状態だし、慣れみたいなのがその時点であったから、迷惑って別に思うことでもないし。しいて言うならそもそも関わるのが嫌だった時期は、関わること全てがちょっと嫌だったかな。何も不便とは思ったことはない。お風呂ちょっと入れてくんないっていうのがあったり、あと文化祭期間中に父親が弟連れてくるのは嫌だった。
ーー友達にあれうちの家族だよって言いづらいみたいなことですか?
言いづらい、中学の時は。小学校の頃に近所のファミレスで友達と遭遇して、その翌日に友達が多分気を遣ってちょっと濁して、弟あんな感じじゃない?みたいなことを聞かれて、気を使っているのがまるわかりだったから、そういう意味で友達は他意はないけど事前情報なく聞くことで気を使わせてしまうことが嫌だった。
ーーその場の空気を自分がちょっと変な感じにしてしまうのが嫌だったわけですね
関わることによって何か言及される。周りをそういう空気にしてしまう。誰も悪くないけど。
ーー家の外でそういう風になるのか分かるんだけど、家の中でもなのがちょっと気になりました。
それは関係ない。ただ思春期だった。
